鳥人幸吉伝
・・・空にあこがれ鳥になることに一生をかけた男の物語・・・

作 : 小松秀二 
絵 : 小松恵子 

はじめに

 紙ヒコ−キに魅せられてからは”飛ぶもの”に何でも興味を持っている中で、江戸時代に”飛ぶ”ことに一生をかけた人物に出会いました。紙ヒコ−キに限らず多くのスカイスポ−ツやパイロットの先人であるこの人物は『表具師浮田幸吉』、別名を 『鳥人幸吉』といいます。

今回、『鳥人幸吉伝』というタイトルをつけまして、幸吉の一生を表現すべく小説風にしてみました。鳥人幸吉の小説は、かの新田次郎作『鳥人伝』(新潮文庫、1956年)がありますが、小生の思いとやや趣きが異なります。 小生と『鳥人幸吉』との結びつきは、朝日新聞に『鳥人幸吉研究会の古泉先生』の記事を見つけ、古泉先生へ是非とも研究会へ入会したい旨の手紙を書いたことから始まりました。その後、幸吉が誕生した岡山県玉野市八浜での紙ひこうき教室や八浜フェスティバル等が地元安治川鉄工建設の中国工場の方々と日本紙飛行機協会のご支援により成功しました。更に、96年8月には日本紙飛行機協会の主催により『鳥人幸吉杯紙飛行機大会』がジャパンカップ地区予選会と併設として開催されることになりました。そして、そのお手伝いをしていく中で私は、もっともっと幸吉の偉業を日本に限らず全世界へ広めることが、必要ではないかという思いが強くなってきました。幸吉は伝説の人ではなく、実際に空を飛ぼうとした実在の研究家なのです。

 私のこのような思いは、思いがけなく展開していきました。96年のジャパンカップ全日本紙飛行機選手大会に優勝することができ、97年8月に米国スミソニアン航空宇宙博物館を訪問する機会を得ました。そこで、世界に幸吉を知らせるためにもと思い、本書を英文にし、同館の航空部長クラウチ博士に直接手渡すことができました。博士は、「信じられない」と受け取ってくださいました。その後、本書はスミソニアンの公式図書として登録されました。また、98年8月には、写真集「鳥人幸吉紀行」を、同博士に再度手渡しました。

 なお、古泉先生には幸吉に関する様々な資料をご提供いただき、また本書の執筆に関しましても寛大なご配慮を賜り誠に感謝しております。また、妻の恵子に多くのアドバイスと挿絵を協力してもらいました。直線しか描けない(製図風)私の代わりに、幸吉を描いてもらいました。いささか、幸吉が歌舞伎役者のような『いい男』になっているのが、気がかりですが・・・。さらに、静岡への取材旅行にも同行してれたことに感謝しています。

 つたない文章ではありますが、ご一読下されば幸いです。空に魅せられた男の想いの一端でも伝われば嬉しく思います。


1996年5月吉日
小松秀二