これまたその頃の話です。
1970年代、当時日本でベストセラーとされていたのがYAMAHAのNS-1000M。
例の黒でパンチグリルの精悍なデザインがカッコ良かった。
他社もこの1本10万クラスにはかなりの対抗機種を投入してきた。
ダイヤトーンDS-503、パイオニア(そのときは自社品ですが)
933シリーズ、オンキョーセプター
少し価格が上では元々人気のJBLの4311、少し下ではコーラルの製品も
さらに、テクニクスなど平面タイプも出てきたり
たしかまだまだあって、雑誌の特集には事欠かないゾーンだった。
おそらく日本ではこのLaox位だと思うけど、
その比較ラインにALTECのミニモニター8Aを入れていた。
しかし、これは1本7万8千円と2つ位下のプライスレンジ。
ここは普通ではない吉祥寺Laox。
鳴りっぷりの良さと躍動感ではこの小さなALTECは完全に他を圧倒していた。
視聴室でもその差は歴然としていた。
こういう大きな店舗ではそれぞれのメーカーの販売員が自社の
製品を強力にプッシュするのが当たり前なんだけど
この土俵ではこのミニモニターを奨めてしまう(笑)
エレクトリがプロデュースしたこのモデルは、それまで「ベルエラ」と呼ばれてた機種で
ウーファーに411-8Aタイプの30cm、高域は427-8Aのコーン型で
N1501-8Aクロスオーバーで1500Hzのクロスでバスレフ構成。
4311も含めて他社は殆どが30cmウーファーの3ウエイ構成故、レンジ感は圧倒的にある。
しかしながらこの2ウエイのミニモニ君、ドライブ感、グルーブ感、鳴りっぷりの良さ等はすばらしいものがあった。
本国ALTECからはこのユニット構成とほぼ一緒で箱が大きいSANTANA IIというデザイン的にも素晴らしい機種が
あったけど値段が倍近くもした。
で、このミニモニター8Aは隠れたベストセラーとなっていたのです。
そういえば、その頃ラフォーレ原宿の入り口に「グルービー」というレディスのショップがあり
6〜8台のミニモニが柱巻きに埋め込まれていて、それこそ
グルーブ感あふれるホントにノリの良い音をを聴かせていた。
その後、確かボーズに切り替わって、わりと普通の音になってたような気がする。
その際、ミニモニターを売ってくださいと言いに行きたかったんだけど
やはり気の小さなわたくしは行けなかったのでした(笑)
無線と実験というオーディオマニアが読むような雑誌で
よく録音スタジオの取材記事が載っていた。
さすがに此の大きさのをスタジオコンソール脇のメインで使うところは無かったようだけど
ミュージシャン用のプレイバック用ではかなり見かけたし
その他、ホールの調整卓や編集用でのモニターでもかなり使われていた。
ずっとずっとこいつを探していたんだけど遂に2001年
オークションで発見されたのが上のやつ。
エッジは張り替えられていたけど、当時の音が懐かしさと共に出てきたのは感激した(当たり前?)
ただ、今改めて聴くと結構ドンシャリでハイがでしゃばりすぎかなという感じもする。
しかしこの音楽が弾む感、素敵です。。
現在、>> スタジオ アッシュ録音ブースのプレイバック用モニターとして活躍中です。
ALTEC LANSING Mini Monitor 8A 主な仕様
システムインピーダンス 8Ω
定格入力(連続プログラム) 40W
感度 94dB(新JIS)
再生周波数帯域 35Hz〜20kHz ±4dB
クロスオーバー周波数 1.5kHz
クロススロープ 12dB / OCT
高域減衰アッテネーター 0〜10dB(1dBステップ)
使用ユニット
411-8Aタイプ(30cmウーファー)) 427-8A(ツイーター) N1501-8A(クロスオーバー)
サイズ、重量 648 H × 318W × 359 D 20kg
偶々、当時はあこがれだったテクニクスのグライコSH-8065が手に入った。
左右それぞれ33分割の圧倒的につまみがならんだやつ。
しかしながら、その調整はなかなか手こずってしまった。
その後、スピーカーケーブルをウェスタンエレクトリック
WE16GAに変えてみたら
相当いい感じに仕上がってきた。
ハイは素直になり、ローもしっかりと伸び、それでいて解像度も躍動感もありと
往年の雰囲気に近づいたかな。
と言うわけで、グライコは外してしまいました。
(2006/12/10 ※2014年加筆)