僕が高校生の時の同級生Sから聞いた話。Sは普通の一戸建てに住んでいた。その家のせいか、あるいは家系のせいか分からないが、Sの家ではラップ音などの心霊現象が日常茶飯事だったらしい。一番多かったのは、屋根を何者かがミシミシと歩き回る音。Sの家族はもうみんな慣れてしまってて、そうした音が聞こえても天井を見上げて「ああ、またか」というような感じだったらしい。
そんなある日、何気ない平日の夜、Sは自分の部屋でベッドに寝転びながら本を読んでいた。そうしてるうちに読み疲れたのか、眠くなってきたので、「明日も学校があるし、そろそろ寝るか」と思い、ベッドに仰向けに寝て電気を消した。眠くなったらすぐに寝付けるように、紐を付け足す事で寝ながら電気を点けたり消したり出来るようにしていたらしい。
Sが何気に電気を消した瞬間、部屋の空気が一変した事に気付いた。急に空気が重苦しくなり、いい知れない不安に襲われた。理由は分からないのだが、とにかく嫌な感じが自分の心の中に膨れ上がっていった。
「・・・何だ?この感じ・・・何だろう?」暗がりの中、目を凝らしてみてもそこにあるのはいつもの見慣れた自分の部屋で、変わった所も無いし誰かがいるわけでもない。でも,とにかくとても嫌な感じがした。
訳が分からないので、とにかくSは無理矢理に寝てしまう事にした。目を閉じて寝ようとするが、感覚が昂ぶってしまって眠れない。体はもう疲れて眠りたいと思っているのに、さっきからの嫌な感じのせいで眠れない。
「何でだろう・・・とても嫌な感じがする・・・何かが来たのかな・・・よく分からないけど何か嫌だな・・・嫌だな・・・嫌だな・・・」そう心の中でつぶやいてた時、突然耳元で・・・
「・・・何でだよ」
飛び起きたSが反射的に電気を点けたが、そこには全身汗びっしょりで、荒い息をついている自分だけしかいなかったという事だ。「突然耳元でボソッと言うんだもんな。あの時はマジでびびったよ」とSは笑いながら話してくれた。